AIの普及により薬剤師の業務は変化しますが、無くなることはありません。薬剤師の対人業務の中で、特に患者の心に寄り添う仕事は、現時点ではAIでは対応できません。しかしながら、AIをより進化させることで将来、心に寄り添う仕事ができるAIが出現するかもしれません。そのようなAIの開発には薬剤師の関与が不可欠です。これからの薬剤師はAIを使いこなすことで、新たな服薬指導・治療法の開発、新薬の開発に関わることが求められます。

一般にはあまり知られていませんが、薬剤師の国家資格を持っていれば、たとえ放射線取扱主任者の資格を持っていなくても、治療や診断で使われる放射性医薬品を保管・調製することができます。
放射線を利用した診断治療が、がん患者の命を救っているといわれている現代において、とても重要な役割を担っている薬剤師。そのため、放射線の特徴や影響を熟知しておくことはもちろん、放射性医薬品を安全に調製するという大きな役割もあるため、大学での講義数も、医師、薬剤師、放射線技師の中で最も多くなっています。

薬学科には27の研究室があり、基礎から臨床まで幅広い研究を行っています。

薬品資源学研究室では、世界中の薬用植物から新薬の種を探しだす研究を行っています。漢方薬の素材となる生薬や、アフリカ・東南アジアの薬用植物から、尋常性白斑、アフリカ睡眠病、がん、不妊症などに効果がある植物を見つけ、活性成分や作用機序を解明しています。また最近では、国内での薬用植物の栽培活性化に貢献する研究も進めています。これらの成果を、国際学術誌や国内外の学会などで毎年発表しています。

薬学科には27の研究室があり、基礎から臨床まで幅広い研究を行っています。

医療薬学研究室では、健康増進ならびに医薬品の適正使用につながる研究を行っています。その一つであるうつ病の予防や改善に役立つ物質の探索研究では、うつ病の発症要因の一つと言われている脳由来神経栄養因子（BDNFといいます）という体内のタンパク質の減少を抑制またはBDNFを増加させる物質を見つけ出し、その効果を検証しています。この研究以外にもオートファジーとがん細胞の抗がん剤耐性との関係を調べる研究も行っています。